障害児のきょうだい、癌患者の子供
梅雨の晴れ間に洗濯物を干し、ついでに布団も干しました。
すっきりとした気持ちになりながら、ふとこういうことができることは幸せだな、と空を見上げました。
今から12年前、ちょうど今頃です。私たちはアメリカに住んでいました。
息子3歳、娘2歳のときでした。
私はステージ3の大腸がんの診断を受けました。
いやはや、そんなことは私の人生に予定してなかったことでしたので、どうしたらいいものか。。。というのが正直なところでした。
我が家系、癌が多く、がん検診をしなかった私がいけなかったのですが、初めての検査でいきなりステージ3でしたから本当に予想外でした。
私はその頃、「ああ、アメリカに住んでいてよかったなあ」と思うことがたくさんありました。
そのひとつが家族のケアでした。
息子が自閉症という障害があると、どうしても娘に手をかけてあげることができないこともありました。
私たちが住んでいた学区では障害児のきょうだいに対するサポートもあり、兄弟たちが集まるとか、息子が通っていた発達センターではきょうだい含めて家族が集まってピザパーティーのありました。
そして、今度は私が癌になってしまうと、病院から親が癌を患っている子供たちのサポートがあることも紹介されました。
癌患者の子供たちにアートで気持ちを表現することなどが行われていました。娘はまだ2歳でしたので、そういう集まりには参加しませんでしたが、我が家の状況からたくさんのアドバイスをいただきました。
ヤングケアラー、という言葉を最近よく聞きます。
障害や病気の家族の世話をする18歳未満の子供たちのことだそうで、家族の世話をすることで学業や個人の時間に支障が生じていることが問題となっているそうです。
娘は今は受験生となり、塾に通ったり、部活動をやったりと普通の中学生として過ごしていますが、一歩違えば「ヤングケアラー」と呼ばれる状況になっていたのでは、と思います。
幸い、私が癌は完治して今やフルタイムで仕事をしています。ですが、これはたまたま私は完治したものの、ステージ3でリンパ節に転移していたので進行していても不思議ではありません。
そして、数年前まではうちは母子家庭でしたので、私が病気を患っていたら、それこそ、自閉症の息子のことも娘の負担になっていたかもしれません。
日本に戻ってきたとき、私はこんなことを言われました。
「どうして障害児のきょうだいに対する支援がないのですか?」ときいたら、
「どこもみんなではないから。障害児がいるのはお宅のことですよね。みんながそうであればそういうことも必要でしょうが、一部の方のみでしたら、それぞれのご家庭で対応してください」と。
今はずいぶん変わってきたなあ、と最近思います。
昔は、家族の中で子供たちが親のお手伝いをすることが当たり前だったといいます。
子供を支える支援が必要です。それによって過剰に線引きすることないよう、当たり前の生活ができるような社会が理想です。
なんてことを思った晴れ間でした。